日本で放送される海外ドラマが激減した“海外ドラマ氷河期”と呼ばれる1980年代において、旬のアメリカドラマを毎週オンエアし最も健闘したといわれる日本テレビの日曜夜10時30分枠。
 『エアーウルフ』はそんな同枠で1986年10月~1987年4月に放送され、約15%という高い平均視聴率をマーク。1987年4月8日からは格上げされ、日本テレビ系全国ネットの水曜夜9時00分枠で放送。続編の『新エアーウルフ 復讐編』と合わせて1988年3月まで約1年間オンエアされた人気シリーズだ。
 そんな『エアーウルフ』は全米で、1984年1月22日の日曜夜、アメフトの国民的イベント、スーパーボウルの直後に『エアーウルフ』第1話である長編エピソードを初放送。そして、同じ週の28日から土曜夜9時枠で本作の放送がスタートした。折しも当時のアメリカテレビ界は、『ナイトライダー』『特攻野郎Aチーム』『パトカー★アダム30』『爆発!デューク』『俺たち賞金稼ぎ!!フォール・ガイ』『探偵ハード&マック』ほか、カーチェイスや銃撃戦などの派手なアクションを売りにしたドラマの黄金期。この中において、ヘリを前面に押し出した『エアーウルフ』は他の番組に負けない迫力が話題となり、ヒット作への仲間入りを果たした。
 また、時代にもマッチした。主人公ホークが行方を捜す兄セント・ジョンはベトナム戦争で行方不明となったが、現実にこういう“MIA(=Missing in Action。戦時中行方不明者という意味)”と呼ばれるアメリカ兵は当時多く存在し、『エアーウルフ』と同時期に『地獄のヒーロー』(84)、『ランボー/怒りの脱出』(85)などの映画もこのMIAを題材にした。
 もうひとつ『エアーウルフ』の追い風となったのが、1983年に製作されてヒットした、ヘリコプターが活躍する映画『ブルーサンダー』だ。多くのファンにヘリコプター・アクションの面白さを気づかせてくれた。
 まだ本格的なCGが無かった時代、本物のヘリや戦闘機を使った空中戦の荒々しい迫力はまさしく本物だ。一部、実際の戦争や兵器を撮影した実録映像の流用もあるが、時が経ってそれらにまで記録的価値がある。
 現代ではもう二度と作ることが不可能なドラマ『エアーウルフ』は、圧倒的な迫力と魅力を持つ作品なのである。